あらしとゆうなぎ、むねのなかの

こういう時に思い出す、昔読んだ小説に出て来る人物の述懐。

「人格は輪ゴムみたいなもんだ。長所が伸びればその分何処かに無理が来る」

人の精神状態も同じだと思う。

とても良い事で精神の輪ゴムが伸びたら、その分違う所に無理が来るのだ。

言い訳めいてしまうけど、私が大抵そうである。

楽しかった事があると、その後にずどーんと訳も無くこころが荒れる。

嵐のように荒れた後、凪が来る。

この動静も、中々慣れない。

ずっと激しく動いていたものが急に止まるのだから。

深い水の中で、まるくなって沈んでいく感じ。

光の透過、薄青から群青のグラデーションをひたすら沈む。

それでも、いつまでも凪いでもいられない。

少しずつ、手でも足でも、そろそろと動かしていかねば。

そう言えば私は泳ぐのも苦手なのだった。