おんがくのこどもたち


泰行氏が脱退を表明して、兄弟キリンジとしてのラストライブ。
友人とプレオーダーに申し込んだら、上手い事お互い違う日が当選。
折角なので、2日間とも行って来ました。NHKホール。
 
何から書いたら良いのか・・・兎に角2日間とも熱量が凄かった。
1日目は、MCもそこそこにほぼぶっ通しで3時間半歌い通し。
(地方遠征も多かろうと言うスタッフの配慮でもあったらしく
 「あんまり喋るなって言われた」と言っていた)
そのせいか、最後の方は聴いているこちらがはらはらしてしまう程
泰行氏の声が安定していないと言うか、精魂尽き果てた声。
アンコールの「Drifter」では2回も歌詞を間違えたり。

2日目は少しMCを増やしてくれた。
相変わらずのゆるいMC。多分昨日を踏まえて休憩と言う意味もあると思う。
それでも1日目より何曲か更に増やして、4時間(!)の長丁場。
アンコール付近は「絶唱」と言うか鬼気迫る歌声だった。
2回のアンコールが終わり、館内放送が何度も流れても皆帰らない。
ずっと拍手とコールが終わらず、兄弟だけで出て来て最後の挨拶。
 
ここから雑感。
キリンジのライブは5年ぶり位になるんだけども、久々にライブを観て
ライブ中思っていた事は「嗚呼、ともだちが出来たね。良かったね」だった。
初期の曲は、冨田恵一氏によるプロデュースでとても豪華なアレンジが多かった。
「これをどうやってライブで再現するんだろう」と思う程。
そして実際、ライブだと荒削りな感じと言うか・・・
これは勿論個人の感想なのだけれど、矢張り録音の方が好きだな、と。
それが、セルフプロデュースになってバンドサウンドが強くなり。
ライブバンドとしての「キリンジ」が人見知りしなくなったと言うか。
今回のサポートメンバーも、馴染みの方々ばかりでとても息が合っていて
「僕ら音楽に愛されてる」事は素晴らしいけど孤独を伴う事でもあって
「僕ら」と言う、強引に言ってしまえば他者と線を引いていた彼らが
彼らの音楽を咀嚼し理解し、演奏する友人を得たのだなぁと思った。
 
圧巻だったのが「祈れ呪うな」から「早春」への流れ。
原発と言うものへの狂騒を皮肉に歌った後に、春の歌。
この流れで、私の中で何かが許された気がした。
 
1日目は中盤くらい、2日目はアンコールで歌った「エイリアンズ」。
今までライブで聴いて来た中で一番だった。
この歌もまた、自分たちを他者と線引いている歌だなぁそう言えば。
 
1曲目が「グッデイ・グッバイ」で、アンコールで「茜色したあの空は」。
やっぱりこのセレクトは、長年のファンとしては意味づけをしたくなる。
「喉越しの良い涙で最後のお別れ出来たらいいな」
と言うのは、あれこれと憶測を飛ばしたくなる外野へのメッセージ?
単純に、兄弟揃ってのキリンジラストライブのご挨拶?

ともあれ、皮肉な事に、泰行氏の脱退が無ければ多分私たちは
キリンジのライブに来る事すらなかったろうなぁ。
今までありがとうキリンジ
私は、貴方たちのお蔭で得難い友人が出来ましたし、
何より音楽と言う素晴らしい友人が出来ました。