きおくのてざわり

記憶にも感触がある。気がする。
最近、もう5年は会っていない人が何度か夢に出て来た。
夢は記憶の整理作業のようなもの、と池谷裕二さんの本にあった。
なので、覚醒状態では朧なその人の顔や姿が夢では割とくっきりしていた。
で、起きている時にその人の顔やら何やらを一生懸命思い出してみた。
自分の記憶を手探りするという作業。
ぱっと思い出す、写真(平面)のような記憶に肉付けをする。
その人を、立体的に思い出そうとする。
すると途端にその人が自分のすぐ傍に居るような錯覚を一瞬起こす。
そう言う記憶の、手触りが好きだ。
顔、声、身長、などなど。
 
かつて私が関わったあらゆることの記憶の手触りを忘れたくない。
 
小さい頃、絵本か何かで見たガリバー旅行記
その中の、ガリバーが紐で板に縛り付けられていた絵。
その、紐で雁字搦めにされたガリバーの絵を見て感じた何か。
それをはっきりと思い出したいのに、思い出せない。
しょうもない事なんだけど、気になる。